プロジェクト紹介

本研究は、システム設計(「技術」)を専門とする人間中心設計(HCD:human-centered design)と人間社会の理解(「社会」)を専門とする文化人類学(以下「人類学」と略)の知見を融合させつつ、人工知能(AI: artificial intelligence)を適用したシステムの設計において人と社会の調和を考慮したシステム設計思想および設計方法のあり方を検討します。

具体的には、HCDと人類学の2つの関連する学問領域の対話と連携により、実際にAIが導入されている現場(医療支援システムや転職支援サービスなど)のフィールドワークを通し、人類学の社会的・文化的な視点から人間とシステムの関わりへの理解を深めるとともに、HCDとの接続を可能とするような統合的な設計思想および方法論を検討することを目的にしています。

この研究は、人や社会を要件として捉えるHCDの視点と、集合的な社会・文化に焦点を当てて人間理解を深める人類学の視点の双方を統合するという、これまでにない野心的な協働/共同研究であり、「多元的HCD」という一見矛盾する設計思想こそ新しい時代のITシステムの設計のあり方ではないか、との仮説を追求する点に挑戦的研究としての意義があります。